さよならはまた会うためのおまじない

リオネル・メッシバルセロナを退団するー

15年以上にわたって続いた伝説の終わりはあっけないものだった。今回の退団は、バルセロナがリーガの規定するサラリーキャップ上限を大幅に超過していたペナルティによるものであった。数日前まではどのメディアもメッシ残留確定報道をしていた中で、急転直下の退団劇である。誰がこんな結末を予想しただろうか。

 

自分は2014年のW杯以来、ずっとメッシとバルセロナを追ってきた。自分のサッカー人生が始まった14-15シーズン、当時は何も知らなかったので「メッシがいるからバルセロナの試合を観ている」という状況であった。しかし、最強トリデンテMSNを結成し、圧倒的な攻撃力で三冠を達成したバルセロナというチームにハマるのにそう時間はかからなかった。

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バルセロナを追い続けて7年、その間に数多くの功労者がチームを去っていった。シャビ、ダニアウベス、ネイマールマスチェラーノイニエスタラキティッチ、そしてスアレス。欧州を席巻したかつてのバルセロナの姿は今はもうない。リーガでは格下にポイントを落とし続けて優勝を逃し、CLではショッキングな敗退を毎年のように続け、話題になるのは決まって経営難やフロントのスキャンダルなど暗い側面ばかり。History FC(過去しか誇れるものがないといった揶揄)なんて中傷も度々見受けられた。

それでもバルセロナにはメッシがいた。メッシは一人で戦況を変えられる数少ないプレイヤーだ。戦術メッシがバルセロナというビッグクラブで成り立ってしまうことが、メッシの計り知れない偉大さを証明している。チームが泥舟であったとしてもメッシがいれば何とでもなる、ファンはずっと彼のかける魔法に魅了され続けてきた。

でも、いつかその魔法から目覚める時はやってくる。メッシがいくら優れているとはいえ、彼がずっと現役でいられるわけがない。僕はその時がやってくるのを恐れていた。メッシ抜きのバルセロナは正直いってつまらないからだ。チームの得点、アシスト、チャンスメイクなど攻撃的タスクの全てをこなすメッシの代わりなど誰にも務まるわけがなく、メッシ抜きでは攻撃は停滞する。メッシが偉大すぎる故に、バルセロナはメッシ一個人に依存しすぎてしまった。メッシの抜けたバルサに未来はあるのか、そんな重い悩みを皆が抱えていたものだと思う。

ただ、そんなバルセロナに一縷の光が見えたのが20-21シーズンのことだった。バイエルン戦での大敗からメッシ退団報道でチームが揺れる中、彗星の如く現れた新星ペドリや、マルチプレイヤーとして覚醒したフレンキーデヨングら若手の活躍によってバルセロナは上昇気流に乗り始めた。メッシの存在感は健在ながらも、全てがメッシメッシではなくなってきていた。そして4月には国王杯のタイトルを獲得。バルセロナの未来は明るい、少なくとも僕はそう信じて止まなかった。

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8月6日。公式がメッシの退団を発表した。正直今でも信じられていない。到底受け入れられない。今でも毎日のように涙を流している。メッシの退団はいつかは起こること、だけど絶対今じゃない。こんな結末、誰もが望んでいないはずだ。

バルセロナというチームを好きになった僕はメッシが居なくなった後でもバルセロナを追い続けるが、メッシのいないバルセロナを知らないので、これからどうなるのかが全くわからない。何よりもうバルセロナでメッシのプレーを見られないという現実が悲しすぎる。急に目の前が真っ暗になった気分だ。

 

それでも、僕はさよならを言うつもりはない。メッシは退団会見で「ここは自分の家だから、またいつか戻ってくるよ。だからこれはgoodbyeじゃない」との言葉を残した。そう、メッシはいつかバルセロナに帰ってきてくれるのだ。僕に出来るのはその日まで待つことだけだ。

なので、この言葉と共に本ブログを締めたいと思う。

 

「さよならはまた会うためのおまじない」

 

ありがとうメッシ。また会う日まで。Good luck!

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